秘訣は「お片づけ」にあり! 成果物管理は、格納先を整理から準備をはじめよう!
保育園のお片づけの時間。先生の合図で子どもたちは使っていたおもちゃをめいめいに収納します。
自由奔放な子どもたちのこと、きっと倉庫内は無秩序状態……と思いきや、覗いてみるとその整然さにびっくり! 実はこれ、保育園のある工夫によるものなのです。今回は、保育園のお片づけの例にならってプロジェクトマネジメントにおける成果物管理についてのお話をします。
「おもちゃ(成果物)」をしまうには「箱(格納先)」が必要
「おもちゃ(成果物)」をしまうには、それに対応する「箱(格納先)」が必要です。それと同じように、成果物管理ではまず、できあがった成果物をしまう格納先を用意しておくことがポイント。プロジェクトの最初に成果物一覧を作成し、どんな成果物ができるかあらかじめ洗い出したうえで、それに対応する整理された格納先を準備をしておきます。
「フェーズごと(時系列)」・「機能・対象業務ごと(カテゴリ)」に格納先を分けよう
おもちゃを手に子どもたちが向かう先には、収納ボックスが並んでいます。
この収納ボックスはそれぞれ「ぬいぐるみのボックス」「積み木のボックス」と種類別に分けられ、収納する中身の写真や絵が貼られているので、子どもたちは迷うことなくおもちゃを片づけることができるのです。
このように、保育園のお片づけの例にならって格納先をきちんと分けておけば、実際のプロジェクトでも成果物管理に戸惑うことはありません。 成果物管理で格納先を分ける方法は、大きく2種類。1つは「フェーズごと(時系列)」に、もう1つは「機能・対象業務ごと(カテゴリ)」にフォルダを分けるという方法です。
「フェーズごと(時系列)」にフォルダを管理する
1つ目の「フェーズごと(時系列)」にフォルダを管理する方法は、例えばシステム開発のプロジェクトであれば「要件定義 → 設計 → 制作 → テスト → リリース」という一連の流れに沿ってフォルダを作成し、要件定義書や成果物・タスク一覧は要件定義フェーズのフォルダへ、設計書は設計フェーズのフォルダへそれぞれ格納するイメージです。
フォルダ構成の例
○○プロジェクトフォルダ
例のようにフェーズごとに時系列でフォルダを分ける場合、成果物の性質は「スコープが決まるまで」「スコープが決まったあと」の2つで大きく変わるので、少なくともスコープ決定の前後で区切った2つのフォルダを用意します。
「機能・対象業務ごと(カテゴリ)」にフォルダを管理する
2つ目の「機能・対象業務ごと(カテゴリ)」にフォルダを分ける方法は、上述の保育園の例で触れたとおり、ぬいぐるみや積み木など同じ機能・性質を持つものどうしをそれぞれのフォルダに格納します。
システム開発プロジェクトの例などでは、デザインの成果物はデザインフォルダ、エンジニアがつくったプログラムは設計・開発フォルダ、スケジュール管理の資料はマネジメントフォルダへという振り分けで、機能や対象業務ごとにフォルダに分けます。
「機能・対象業務ごと(カテゴリ)」での成果物管理はフォルダ名を見ただけでどの成果物が格納されているかイメージしやすいため、どんな業務でも使いやすい方法です。
成果物管理のツボ
受領物のフォルダは別に作成しよう
成果物には自分たちでつくるものだけでなく、発注者やパートナーから受け取った受領物があります。 受領物は、
- 発注者やパートナーから預かった素材を失くさないよう、適切に返却・保管・廃棄できるようにする。
- 受領物は「確認」こそすれ手を加えることはないので、他の成果物と明確に区別できるようにする。
という観点から、その他の成果物とはフォルダを別につくって格納することがおススメです。
「ここは何を入れるところか?」格納先の名前を明確にして管理をスムーズに!
冒頭で保育園のおもちゃ収納を例に、ボックスに中身の写真や絵を貼っておくことで「ここは何を入れるところか?」をわかりやすくする工夫をご紹介しましたが、プロジェクトの成果物も「ここは何を入れるところか?」を明示にしておくことでスムーズな管理ができます。
例えば、「2015年度経理関連」という資料をフォルダに格納する場面で、時系列ごとに資料を格納する「2015年度」というフォルダと、カテゴリごとに資料を格納する「経理関連資料」というフォルダが2つ存在してしまうと、どちらに資料を格納すればよいか、戸惑ってしまいます。
ちょっとしたことですが、小さな混乱を防ぐためにも、フォルダやファイルをつくる時には「時系列」で統一するか、あるいは経理関連、総務関連といった「カテゴリ」で分けるか、きちんとルール決めをすることで格納しやすくなると同時に、探しやすくなります。
予め格納のルールを決めておけば、成果物管理を担当するメンバーの入れ替わった場合でも、引き継ぎがスムーズにすることもできます。
また、フォルダを開いたときに常に最新の成果物が表示されるような工夫ができると、成果物管理がより効率的になります。例えばフォルダ内に2階層目として「_old」「_bak」といった名前のフォルダを用意して古くなった資料はそこに移動しておけば、最新の成果物だけが1階層目に並び、容易にアクセスできます。
タスクを依頼する際は成果物の格納先もセットで依頼しよう
プロジェクトチームのメンバー同士でタスクを依頼する際には、格納するフォルダをあらかじめ作成し、中間の成果物も含めてできた成果物を各自で該当するフォルダに格納するように依頼します。
このような依頼をセットで伝えることで、例えば、メールで提出された成果物を、プロジェクト・マネジャー自身がフォルダへ格納するひと手間の負担が増えたり、添付された成果物を紛失するといった手間やリスクが生じてしまいます。
成果物管理にかかる工数を最小限に抑えるためにも、タスクを依頼する際は成果物の格納先もセットで指示するようにしましょう。
まとめ
- 成果物管理で格納先を分ける方法には大きく「フェーズごと(時系列)」・「機能・対象業務ごと(カテゴリ)」の2種類がある
- 発注者やパートナーから受け取った受領物のフォルダは別に作成して管理しよう
- 「ここは何をしまうところか?」が分かるよう格納先の名前を明確にして、格納ルールを共有しよう
- タスクを依頼する際は成果物の格納先もセットで依頼しよう