「品質」ってなんだろう?
企業活動や商品のコマーシャルで、「最高品質」だとか「品質評価」といった言葉をよく耳にします。ところで、この「品質」とは一体何のことをいうのでしょうか。何をもって「品質が高い」と判断されるのでしょうか。
品質とは「要件として求められる性質」の達成度合い
品質とは「要件として求められる性質」の達成度合いのことをいいます。
要件とは、プロジェクトのスコープ(実行範囲)を決める中で「このプロジェクトができること」として合意した条件のことです。
「スコープってなんだろう?」の記事では、「『成果物の質・量、タスクの量』が決まればスコープが確定する」とお伝えしました。
また、「成果物管理って何をするんだろう」の記事では、「成果物管理の準備フェーズでは成果物の一覧を洗い出す」という説明をしました。
成果物の「量」を洗い出したら、次にそれぞれの成果物に対してどれくらいの質を求めるか、要件として求められる性質=品質の基準を決める必要があります。
これを身近な例で考えてみましょう。
ケーキ屋に、ケーキを10個つくって欲しいという注文が入りました。この場合、成果物は10個のケーキですが、それだけではどんな質のケーキを10個つくったらいいのか分かりませんね。そこで、お客さまに「どんなケーキをつくりましょうか?」と尋ねると、
- いちごが大好きな子どものために、サイズが5センチ以上の大きないちごを使ってほしい
- 普段お店で売っているケーキと同じくらいの高さ、6センチくらいにしてほしい
- デコレーションに、キャラクターの砂糖菓子を乗せてほしい
という具体的な内容が示され、この内容をケーキ屋さんも了承し、双方が合意しました。
この場合、ケーキ10個のうち1個でも「いちごの大きさが5センチ以上」「高さ6センチ以上」といった品質基準を満たさなければ、要件通りの成果物が完成したとはいえません。
「量」と「質」のバランスを取ることでスコープを決める
上記のケーキ屋の例でもう1つ。
お客さまが、「ケーキを20個欲しい」と相談に来ましたが、それでは予算が足りないために「10個に減らす」ことで合意したとします。この場合では、お客様の「ケーキを20個欲しい」という要求(やりたいこと)に対し、「ケーキを10個作る」という要件(できること)を提示し、成果物の「量」を減らすことでスコープが確定しています。
しかし、お客さまがどうしても予算の範囲内で「ケーキを20個欲しい」と言われた場合には、どうしたらよいのでしょうか。
答えは「質」を落とすことです。
例えば、
- いちごは高価なので桃の缶詰で代用する
- ケーキの高さを6センチから5センチにする
など、品質基準を下げることで「量」と「質」のバランスを取り、スコープを確定するのも1つの方法です。
品質は「レビュー」と「テスト」で確認・担保する
成果物ができあがったら、品質基準を満たしているか否か確認します。レビューやテストをし、基準を満たしていると判断されれば、晴れて成果物が完成したといえます。
レビューとは?
レビューとは、成果物ができる前の段階で中間成果物を確認することをいいます。例えばものづくりの現場では、スコープを決めたあとに設計図を作成することがあります。実際につくる過程に入る前に本当にこの設計でよいかどうかを確認するのが「レビュー」に当たります。
ケーキづくりでいえば、「ケーキに乗せるキャラクターはこれでいいか」「誕生日プレートの名前は間違っていないか」などを紙に書くなどして確認し、これから作るものの品質を担保することが「レビュー」といえます。
テストとは?
上記のレビューに対し、テストとは、成果物ができあがったあと、最初に定めた品質基準を満たしているかどうかを確認することをいいます。システム開発を例に挙げると、できあがった成果物を実際に動作させてみて不具合がないか確認するのが「テスト」です。電化製品の製品テストなどをイメージすると分かりやすいですね。
ケーキづくりにおいては、ケーキのできあがりの高さが6センチあるか測って確認する、できあがった予備分のケーキを実際に食べて味見してみる、といったことが「テスト」にあたります。
まとめ
- 品質とは「要件として求められる性質」の達成度合いのこと
- 「量」と「質」のバランスを取ることでスコープが確定できる
- 「品質」はレビューとテストで確認する