納品物と最終成果物はどう違う? 「成果物」の種類を整理しよう
成果物ってなんだろう?の記事では、「成果物とは、タスクの成果・タスクの証拠のこと。すべてのタスクには必ず成果物がある」とお伝えしました。
きっとこの記事で初めて「成果物」という言葉を知った方や、「印刷された文書も、PC上で管理する電子データも、どちらも成果物なの?」「納品物とはどう違うの?」と疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。
そこで改めて、「成果物」にはどんな種類があるのか、整理してみましょう。
文書もデータもモノも「成果物」
以下のうち、「成果物」と呼ぶことができるものはどれでしょうか?
- クライアントへ提出する紙の企画書
- Webサイトを構成するプログラム
- クライアントからの要件通りに制作したノベルティグッズ
- クライアントから電子データで受け取った画像素材
- 制作会社に作ってもらったデザイン案
- クライアントと合意した契約書
- クライアントに見せない、社内の課題管理表
実は、上記は全て「成果物」。
「タスクの成果・証拠」という定義にあてはまれば、その形態(紙かデータか、グッズなどの品物か)や、誰が作ったか、クライアントに見せるかどうかに関わらず「成果物」と呼ぶことができます。
また、もの作りに関わる企画書やプログラムといったもののほかに、契約上必要な書類や、プロジェクトマネジメントで必要な課題管理表なども「成果物」です。
契約書は「契約した」というタスクの成果・証拠になりますし、課題管理表は「課題を管理した」というタスクの成果・証拠、と考えればわかりやすいですよね。
成果物の種類は「最終成果物」「中間成果物」「受領物」の3つ
成果物の内訳は「最終成果物」「中間成果物」「受領物」の3つに分類することができます。
「最終成果物」と「中間成果物」
最終成果物とは、その名の通りプロジェクトで最終的に作成を目指す成果物のこと。
中間成果物は、最終成果物を作る過程でできる成果物のことです。
たとえば、「犬小屋を設計して作る」というプロジェクトがあったとします。
この場合、最終成果物は完成した「犬小屋」、中間成果物は「設計図」ということになりますね。
また、ビジネスシーンの例として「今期の事業部の各チーム目標をまとめたプレゼン資料を作る」というプロジェクトの場合はどうでしょうか。
最終成果物は「各チーム目標をまとめたプレゼン資料」、中間成果物は「プレゼン資料の目次案」や「各チームリーダーから送られた目標のメモ」「プレゼンの根拠となるマーケティング情報のデータ」といったものがありそうです。
何を「最終成果物」「中間成果物」と呼ぶかはプロジェクトによって異なることもありますが、ここでひとつ分かりやすい定義をご紹介します。
それは、プロジェクト完了後にも参照され、必要に応じて更新されるものを「最終成果物」、プロジェクト完了後は参照されないものを「中間成果物」と呼ぶ、というもの。
確かに犬小屋の例では、「完成した犬小屋」を改修することはあっても、完成後に「設計図」を直すことはありません。
プレゼン資料の例でも、「プレゼン資料の完成後」に「目次案」や「送られた目標のメモ」「マーケティング情報のデータ」を更新することはありませんよね。
もしあなたのプロジェクトで「最終成果物」「中間成果物」の分類に迷ったら、「プロジェクト完了後も参照・更新されるかどうか」をもとに定義してみるとよいかもしれません。
忘れがちな「受領物」
もうひとつ、忘れてはいけない成果物が「受領物」です。
プロジェクトで使用するためにクライアントや協業先から支給されたり貸与される成果物が「受領物」にあたります。
たとえば、犬小屋を作るためにおとなりさんからノコギリを借りた場合、それは「受領物」にあたります。
また、作成する犬小屋がクライアントから依頼されたもので、クライアントから「こういうイメージで作ってほしい」とイメージ画を渡されていた場合、そのイメージ画も「受領物」にあたります。
これらの受領物は、受け取った後に確認は行いますが、基本的には修正したり改変することはありません。
借りたノコギリを勝手に改造したらおとなりさんに怒られてしまいますよね。
クライアントから渡されたイメージ画は、受領したものを修正してしまうとクライアントが当初希望していたイメージが後から確認できなくなってしまいます。
そのため、イメージを修正したい場合には、「受領したイメージ画を参考に、新たに作成したイメージ画」など、受領したものとは別の成果物を提示する必要があります。
「最終成果物」=「納品物」、ではない!
誰かから依頼された成果物の場合には、作成した成果物を依頼主へ納める必要があります。
依頼主へ納める成果物を「納品物」といいます。
ここまで成果物を「最終成果物」「中間成果物」「受領物」の3つに分類してきましたが、では「納品物」と言った時に指すのはどの成果物のことでしょうか。
「最終成果物=納品物」と考える方が多いかもしれませんが、実は最終成果物だけが納品物とは限りません。
「納品物」は、全成果物のうち依頼主へ納品するもの全てのこと。
「納品物」には、最終成果物も中間成果物も含みます。
たとえば、最終成果物ができるよりずっと前に作成した「設計書」も、クライアントから「設計の段階で問題がないか確認するので納品するように」と求められた場合は「納品物」となります。
まとめ
- 「タスクの成果・証拠」という定義にあてはまるものは、紙の文書も電子データも形あるモノも全て「成果物」
- 「成果物」は、最終成果物・中間成果物・受領物に分けられる
- 「納品物」は、全成果物のうち顧客へ納品するもの全てを指す(最終成果物も中間成果物も含む)