アクティブラーニングができている状況を作るには、どういう方法が効果的なの?|プロジェクトデザインの実践例
生きる力 - “ありたい姿”を“カタチ”にする4つの力(ラーニング・マップ)
Learning Map of “The Power to Live” -Four powers to realize “how you want to be”
①~④の学習方法と、人類の歴史の中で研究されてきた知識や開発されてきた技術はどう関係するのでしょうか?その全体像を示す図が、ラーニング・マップです。
学ぶ対象には、従来の国語・数学・社会などの教科や一般教養と言われるリベラルアーツ、AI・遺伝子・宇宙・民主主義・社会心理など最先端分野や、まだまだ多くの未発見分野があります。それら各分野を学び始めるきっかけは前述の通り各個人の興味・関心です。
個人の興味・関心をきっかけとした個人学習から始まり、対話型学習・活動型学習での体験を通じてより広く深くことができます。主に、個人学習では自分の中の感情・感受性と自分の外にある知識・技術との両方に向き合いながら自分の言葉にする思考力を、対話型学習では異なる価値観や考え方から違いと同じを理解し共通の善いを導く合意力を、活動型学習では実際の問題発見から解決に取り組む活動を通じてスタートさせる企画力とゴールまで導く運営力を、それぞれの体験の中で養いながら、それぞれの分野と往復することで知識・技術の理解と習得を早めることができます。
思考力:「情報」を受け取る・変える・伝える力-ロジカルシンキング
本・ウェブ・発言などのメディアからの情報を、構造的に受け取り、構造的に編集し、構造的に伝える力。
合意力:「共通の善い」を導く力-ファシリテーション
対話の中で、受け取った情報と伝えたい情報の未合意点を掴み、各論と総論を往復しながら合意へ導く力。
企画力:「ありたい姿」を描く-プロジェクトデザイン
ありたい姿と現実を往復しながら、ありたい姿と現状との差から問題を発見して具体的な解決策を描く力。
運営力:「カタチ」を作る力-プロジェクトマネジメント
発見された問題を解決するための活動をスタートさせ、ゴールまで導きカタチにする力。
“生きる力”から養われる“生き残る力”
また、この4つの力は、単純にありたい姿をカタチにするポジティブな状況に必要な力というだけではなく、不合理な契約や犯罪行為や自然災害など初めて直面する難しく厳しいネガティブな状況に直面したときにも、自分で考え、相手と話し合い、問題を発見して解決へ導く不可欠な力とも言えます。
【(学びから得られる)想定される効果】
自分の活動と社会をつくることの強いつながりを知る。
Strong connection between “your work” and “your society”.
①~④の学習方法は、4つの力と各分野の理解や習得を早める以外にも、以下のような効果があると考えられます。
- 小さな成功体験を積み上げながらも、同時に初めて直面する事態に遭遇したくさんの失敗経験ができる。
- 失敗に対する恐れが小さくなったり、失敗の対処方法を知ったり考えたりが体験できる。
- 自分ができないことは人の助けを求められる、人が求める助けに応えられる。
- 答えには正解がなく、自分で答えをつくることを実感する。
※正解があることが刷り込まれると、枠に囚われ枠から出ることを恐れ挑戦しなくなる。
点数をもらえる回答が正解と刷り込まれると、点数や数字を正解として追ってしまうが現実世界には正解はない。 - 他の人がやってきたことを「覚える」だけではなく、自分でできることを組み合わせて「しごとをつくる」ことができる。
- 上記の4つを通じて、自分の感情と思考、自分が参加し企画運営する活動が、自分たちが望む社会をつくることと密接につながっていることを知る。
◎ “やりたいこと”を起点に、対話や活動に参加・企画し、知識・技能を増やして、しごとをつくる。◎
※「しごと」は労働や経済活動に限らない。
【まとめ】
「自分が“やりたいこと”で、しごとをつくる」を目的として、自分の興味・関心がある活動へ参加したり、企画運営をすることが本来のアクティブラーニングの状態です。一次的な成功・失敗や活動の大きい・小さいはさして重要ではなく、自らの意志で能動的・主体的な言動をもちよって活動に参加する企画運営することが重要です。
活動の目的を果たすために必要な専門的な知識はもちろん、活動を企画する・運営する、そのための土台となる思考する・合意する、そのために足りない知識・技能を能動的・主体的に取りに行く、それらが学ぶ愉しみとともに広く深い学びを継続することにつながります。
今回はここまでです。
未来の「しごと」を想定しながら、教えて育てる「教育の方法」とは違う本来持っているものを引き出して伸ばす「学び」について考え、事例を交えた具体的な方法を共有できたのではないかと考えています。
実際の現場に取り入れる中で状況やタイミングを見極めながら、家庭内や地域内または学校内や社内で、誰かが作った仕事をもらうという発想から、自ら仕事をつくることとそのために必要な学びについて、話し合うきっかけとなる一つの結論(共通に「善い」と考えられる一つの答え)を提示できたと思います!
├プロジェクト5:親と子どもと学び方、何が変わる?
├アクティブラーニング実例:そうはいっても難しそう、本当にできるの?
・【Q&A】想定されるリスクや課題って何があるだろう?どう対策する?
※参考文献