「WBS」と「詳細スケジュール」はどう違う?スケジュール管理のツールまとめ
「グランドスケジュール」や「WBS」、「詳細スケジュール」など、スケジュールを管理するツールは目的や用途によって使い分けることで、スケジュールを効率的に管理することができます。今回は目的や用途にあったツールを3種類ご紹介しますので、あなたの現場のプロジェクトマネジメントにお役立てください。
1.「大まかな時系列」を示すスケジュール管理ツール
「グランドスケジュール」「全体スケジュール」「大日程計画」「ロードマップ」といったツールは、スケジュールの全体像を俯瞰的に見られるようにし、マイルストーンを合意する目的で使用されます。名前は違っても内容は同じ、大まかな時系列を示すものです。 これらは、のちほど挙げる2種類のスケジュール管理ツールに比べ、経営者や意思決定者、プロジェクトオーナーなどプロジェクトの上位レイヤーの合意をとるためや、システム開発を請け負った受注者側が発注者にスケジュールを示すために使用されます。
マイルストーンを並べて、重要なチェックポイントを把握する
マイルストーンは、進捗を管理するために設ける節目。大まかな時系列を示すスケジュール管理ツールには、
など大切なマイルストーンだけを記載します。これは、内容を細かくしすぎることでスケジュールの全体像が見えづらくなってしまうのを防ぐためです。どれくらい俯瞰的にするか、情報の分量としては、1枚のA3やA4横長に収まるくらいを目安にするとよいでしょう。
2.「成果物・タスク」を示すスケジュール管理ツール
次に、「成果物・タスク一覧」(「成果物一覧」「タスク一覧」)、「WBS」など、成果物・タスクを示すスケジュール管理ツールについて。これらは、「誰が」「何の成果物・何の作業(タスク)を」「いつまでに行うか」合意するために使われます。 このうち、「WBS」は、後ほど解説するガントチャートと総合して「WBS」と呼ばれることが多いのですが、実は別物。本来の意味での「WBS」や「成果物・タスク一覧」というものは時系列に並んでおらず、一覧になっている成果物やタスクから担当と期限を設定するために使用します。 参考記事:マネジメント用語集:WBSとは
成果物をゴールにタスクを並べ、全体の総量を把握する
1つの成果物を作るためには、複数(1つ以上)のタスクが必要です。「(本来の意味での)WBS」や「成果物・タスク一覧」を使うと、成果物の完成までにどのようなタスクがあるのかを洗い出し、成果物・タスクの全体量を把握することができます。 全体量が把握できると、担当に割り当てられた成果物・タスクの量が多すぎる、期間が短すぎるという課題を事前に把握し、解決策を講じることができます。 期限内の目的達成に向けて確実なスケジュールを策定するために、成果物・タスクを漏れなく一覧にしてから担当・期限を設定しましょう。
3.「細かな時系列」を示すスケジュール管理ツール
最後に、細かな時系列を示す「ガントチャート」や「詳細スケジュール」ですが、上記のように成果物・タスク一覧で担当と期限が決まったら、それらを時系列に並べて前後関係を把握します。「細かな時系列」を示すスケジュール管理ツールは主に、プロジェクトマネージャーと実際の作業者が運営します。 細かな時系列を示すスケジュール管理ツールが実力を発揮するのは、タスクの前後関係の把握や、クリティカルパスの見える化。このタスクが遅れるとプロジェクト全体に影響するという過程を見える形にして、最終的なスケジュールの調整や計画と実績の差を明らかにし、マイルストーンと成果物・タスクの前後関係を調整します。
成果物を前後関係でつなぎ、タスクの前後関係も含めて把握する
成果物を時系列に前後でつないで並べてみると、その成果物に紐付くタスクの前後関係も明らかになります。 前後関係を意識せずに、成果物・タスクをスケジュールに落とし込んでしまうと、プロジェクトの期限を大きく遅延させてしまうことに繋がります。 例えば、前の成果物が完了しないと開始できない成果物が発見できたり、完了を待って開始すると間に合わない場合に進められる箇所だけを早めに開始して並行で進めプロジェクトの期限に間に合わせるなど、前後関係をつなぐことでスケジュールの課題を発見し解決策を講じることができます。 以上の3つともに共通するのは、「担当と期限を明確にする」ことが大切であるということ。大まかな時系列を示す管理ツール以外では、必ず個人名で担当を設定しましょう。(大まかな時系列を示す「グランドスケジュール」や「ロードマップ」では、担当は個人名でなく、会社単位・部署単位での設定をします)
どんな方法があるの?スケジュールのつくり方
それでは、実際にスケジュールをつくるには、どのようにしたらよいのでしょうか。大きく2つ、具体的な方法を見ていきましょう。
1.逆算型
まず1つ目は、逆算型。読んで字のごとく、期限から逆算してブレイクダウンしていくイメージです。グランドスケジュールやロードマップといった大きいスケジュールから、そのスケジュールを達成するために必要な成果物・タスク一覧を出し、その一覧に担当と期限つけて時系列に並べると詳細スケジュールができる、という流れです。
2.積算型
反対に、積算型は細かいスケジュールから大きいスケジュールを積み上げていきます。まず、WBSや成果物タスク一覧から、タスクと成果物が全体でどれくらいあるかを把握します。それぞれのタスクに担当と期限を入れて時系列に並べると詳細スケジュールができ、次にガントチャートで前後関係を見える形にして無理がないかをチェック。最後に、マイルストーンを設定してグランドスケジュールにするというのが主な流れです。 実際にスケジュールをつくる際には、逆算型、積算型のどちらかのみを選んで使うのではなく、どちらのツールも使ってつくったスケジュールを、両者を往復させてレビュー、検証をするようにしましょう。これは、無理なスケジュールを組まないようにするためです。
まとめ
- スケジュール管理ツールは目的や用途によって使い分けることでスケジュールを効率的に管理することができる
- スケジュールをつくる際にはトップダウン型、ボトムダウン型の両者を行き来し、無理のないスケジュールを組んでいるかどうかレビューしよう