チームのコミュニケーションコストを最少化する、コミュニケーション設計における4つのポイント
相手にうまく伝えられない、相手の言っていることをうまく受け取れない、そんな日々のコミュニケーションの繰り返しで時間が取られてしまう。
対面の会議が長く、2時間の会議で2つか3つしか合意できず宿題が残る、会議に繰り返し呼び出されてしまう。
気が付いた時には、業務時間をほとんど使い果たし、残業でなんとか補っている。
そんな経験ありませんか?
日常生活でもコミュニケーションは最も重要な要素の一つです。
シゴトでもメンバー間同士のコミュニケーションは必要不可欠な要素です。
今回は、プロジェクトにおけるコミュニケーションの設計についてご紹介します。
コミュニケーションを設計する目的はなにか?
コミュニケーションを設計する目的は「コミュニケーションコストを最小化しながら、認識の相違を防ぎ、不要な課題の発生を防ぐこと」です。
コミュニケーションコストには何が含まれるか?
コミュニケーションコストとは、情報を伝える側のコストと、受ける側のコストの総量を指します。
例えば、伝える側のコストは、
- 情報を集め取捨選択する
- 説明資料を作る
- 資料を補足する文章を書く
- 直接話す
- 未合意点を確認する
- 合意の意思表示をする
- 議事録をつくる
情報を受け取る側のコストは、
- 説明資料を読む
- 資料を補足する文章を読む
- 直接話を聴く
- 未合意点を提示する
- 合意の意思表示をする
- 議事録を確認する
のコストが発生します。それらを総量として足し合わせた手間・工数を、金額として換算した費用がコミュニケーションコストです。
コミュニケーション管理では、必要な情報を必要な人に過不足なく伝えることはもちろん、コミュニケーションコストを小さく抑えるよう、伝えるべき情報、伝えるべき人を精査する必要があります。
情報を受け取る人数が多すぎると、コミュニケーションコストは増大します。例えば、議題に無関係な人を会議に招集してしまうとその分人件費が無駄になってしまったり、メンバー間のコミュニケーションをチャットにしたところ自分に関係のない情報まで目を通さねばならず時間を無駄にしてしまったり、といったことが起こります。
コミュニケーションを設計するために、どういう要素を考えておきたいか?
それでは、実際にコミュニケーションを設計してみましょう。
コミュニケーション設計は、体制管理で決定された誰が何を誰が何を決定・承認できるか、会議体管理で決定されたどの会議で何を決定・承認できるかをインプットに、以下のような項目を洗い出して設定します。
- コミュニケーションの目的(プロジェクト立ち上げ時の目的と期限の合意、進捗や情報共有による課題発見、解決する課題の合意、解決策の選択と合意、等)
- 発信者:情報を伝えるする元(誰から伝えるか)
- 受信者:情報を受け取る先(誰に伝えるか)
- 頻度
- 各コミュニケーションに最適な手段
- 窓口とエスカレーション先:(課題やTO DOで担当者の対応が困難な時、体制のどのレイヤーまでエスカレーションするか、誰が窓口となって情報を受け取るか、等)
具体的には、「発注者側と受注者側のシステム担当者は月1回の進捗共有でリスク対策を行う」、「システム部門と業務設計部門で、課題の共有と解決」といった目的の会議体の設定をするために、プロジェクトの体制図から上記の項目の洗い出しをします。
コミュニケーションの目的(なにを伝えるか)、どこまで詳細を伝える必要があるか、各メンバーについて会議に出席して決定の経緯まで知ってもらう必要があるのか、それとも議事録に目を通して決定事項のみ把握してもらえばいいのか、また、情報の発信元は誰か、情報を伝える対象は誰か、コミュニケーションの頻度はどれくらいに設定するか。そして最後に、目的に応じたコミュニケーションに最適な手段(対面⇔非対面、同期⇔非同期)を選択し、コミュニケーションの設計ができあがります。
※非対面:電話・ビデオ会議、非同期:メール・チャット
目的に応じた費用対効果の高い手段を選ぼう!
また、コミュニケーションを設計するプロジェクトマネージャーやメンバー各自が意識しておきたいこととして、「コミュニケーションの目的に応じて最も費用対効果の良い手段を選ぶ」ということが挙げられます。
例えば、隣に席に座っているもの同士がコミュニケーションを取る場合でも、2人のやり取りをほかのメンバーにも見えるようにしたいなら、口頭ではなくチャットやメールを使用して会話するなどの工夫をします。
また、プロジェクトについて相談をするときに、相手の時間を奪わないよう注意をしたいもの。ゼロベースで相談をするのではなく、同時に解決策をいくつか提示できるよう準備をしておけば、効率よく相談することができます。
ネガティブなコメントは対面で伝えよう!
コミュニケーションの中には、フィードバックや反対意見など、相手にとってネガティブなコメントとして受け取られる可能性があるものを伝えなくてはいけないこともあります。
このような場面では、メールやチャットでは非言語な情報が伝わらず、返って相手に良くない印象を与えてしまう可能性があります。目的に応じた使い分けという意味でも、新たな課題やリスクの発生を防ぐという意味でも、ネガティブなコメントは対面で伝えるのが理想です。
会うことが目的ではなく、合意すること・新たな課題やリスクの発生を防ぐことが目的です。
とはいえ、インターネット環境の発達でリモートワークや在宅ワークが現実に業務で利用されています。直接顔を合わせる事が難しい場合は、ビデオ会議などできるだけ非言語な情報も伝わる手段をオフィシャルな形でコミュニケーション設計に組み込むことも重要なポイントです。
4つのポイントまとめ
- コミュニケーションを設計する目的は、コミュニケーションコストを最小化しながら、認識の相違を防ぎ、不要な課題の発生を防ぐこと。
- コミュニケーションコストとは、情報を伝える側のコストと、受ける側のコストの総量を指し、特に受ける側のコストを想定する。
- コミュニケーション設計は、体制と会議体をインプットに設計する。
- コミュニケーション設計する際には、目的に応じて最も費用対効果の良い手段を選ぶ。