ファシリテーションにはどんなメリットがあるんだろう?
「ファシリテーションってなんだろう?」の記事では「ファシリテーションとは、合意形成を導く行為のことである」とお伝えしました。
ファシリテーションが必要とされる場では、必ずゴールに「合意」があります。
しかし「合意」するだけなら、参加者同士がたっぷりと時間をかけて少しずつ歩み寄ればなんとかできそうな気がします。
合意が必要な場面にファシリテーションを取り入れると、どんな良いことがあるのでしょう。
今回はファシリテーションのメリットについて考えてみたいと思います。
納得できる
- 課長の鶴の一声で、大事なことが全部決まってしまった。
- 多数決で決めたけど、少数派の意見ももっと聞いてほしかったなぁ……。
このように、いまいち納得できなくてモヤモヤする話し合いを経験したことはないでしょうか。
ファシリテーションの1つ目のメリットは「納得できる」合意形成を導くこと。
ファシリテーターは、たとえば課長だけでなく全員の意見を聞いたり、多数派の意見の中から少数派も合意できるところ・できないところを切り分けて一つ一つ確認をとることで、参加者全員が納得して合意形成できるよう働きかけます。
よい結論が出る
全員が納得できることを重視しすぎると、おろそかになりがちなのが話し合いの「結論」です。
- みんなが納得できることを重視して、3案のうち当たり障りのない解決策で合意。でも実行してみたら、これあんまり解決になってないぞ……?
- 全員が言いたいことを言い合って話し合いの場は大盛り上がり。でも合意したプランを実行してみたら、思わぬところでつまづいてしまった……。
いくら話し合いの場が盛り上がっても、話し合いの成果=結論がよくなければ意味がありません。
ファシリテーションの2つ目のメリットは「よい結論」の合意形成を導くこと。
ファシリテーターは少ない意見の中から当たり障りの無いものを選ぶのではなく、偏りや足りない視点は無いかをチェックしてたくさんの意見を引き出し、整理して、より良い結論が出せるよう働きかけます。
時間内に決まる
納得感とよい結論を追い求めると、「時間」が犠牲になるおそれがあります。
- 1つのことを決めるのに1回の会議では結論が出ず、3回目の会議でやっと決まった……。
- 2時間の話し合い。議題が5つあったのに2つしか結論が出なかった……。
ファシリテーションの3つ目のメリットは、「時間内に」合意形成ができること。
ファシリテーターはあらかじめ議論の段取りを組み立てたり、話し合いが行きづまったタイミングでそれまでの意見を整理することで、決められた時間内に合意形成を導きます。
その結果、1つのことを決めるのにかかる時間が短くなったり、1回の会議でより多くの議題に結論を出すことができるのです。
まとめ
このように、ファシリテーションには「納得」「結論」「時間」の3つの面でメリットがあります。
3つ全てを100%満足させることは難しいかもしれませんが、よいファシリテーターは3つの要素のバランスがとれた合意形成を導く、と言えるのではないでしょうか。
話し合いがうまくいかないと感じたら、「次はいい話し合いにしよう!」と漠然とがんばるよりも、うまくいかない原因が「納得」「結論」「時間」のどれなのかを考えてみると、有効な打ち手が見えてくると思います。
では、どうすれば「納得できる」「よい結論」の合意形成を「時間内に」導くことができるのでしょうか。
今後は具体的なファシリテーションの方法について考えてみたいと思います。