気が付いた時には、予算をほとんど使い果たしていた。そんな経験ありませんか?

適切に見積りを立て、立てた見積りに基づいて予算を管理することは、使うお金から得られる価値を最大化するためにも、企業などの組織活動にとって必要不可欠な考え方です。今回は、プロジェクトマネジメントにおける予算管理とは、具体的に何をすることなのかの本質についてを解説します。

予算管理の2つのフェーズ「準備」と「運営」

予算管理には、「準備フェーズ」と「運営フェーズ」、大きく2つのフェーズがあります。準備フェーズとは予算を見積もる段階、運営フェーズは作成した予算に基づいて予算を消化していく段階をいいます。

準備フェーズでの2つの予算の見積り方法

予算の見積もりは、大きく分けて、

  • 制約として設定した限度額から、費用を配分する「逆算型」
  • 制約となる限度額を考えず、必要な費用を積み上げる「積算型」

の2つの方法があります。

「逆算型」

「逆算型」は、使える費用があらかじめ決まっていたり、成果から逆算して設定した限度額を制約として、企画・制作・テスト・営業・広告など機能ごとに必要な経費を配分する方法です。

「逆算型」での予算見積りのイメージとしては、上流から下流へ、経営層から各部門へ、各部門から各プロジェクトへ、各プロジェクトから各チームへ、各チームから個人へという順番で、決裁権限を持っている上層部のマネージャー主導で仮説を元に予算の配分を行います。

例えば、新しいビジネスモデルの初年度目標として、1億円の売上目標を掲げたとしましょう。
そこからプロジェクトに投下する予算の配分を3000万円で設定し、材料費1000万円・人件費1000万円・広告費用500万円・設備含めた家賃500万円、などのように配分するのが「逆算型」の考え方です。
例のようなビジネスにおける経済活動だけでなく、未来のあるべき姿から逆算した、国家予算の各省庁への配分、国から地方への配分、地方から企業や国民への配分という形で「目的となるゴール設定をして予算を配分する」という逆算型の考え方が多くの場面で使用されています。

「積算型」

「積算型」は、実際に頭と手を動かすメンバー(=実際に成果物をつくる人)が成果物を完成までに必要なタスク・工数、調達が必要な知識・スキル・道具などから、必要な費用を積み上げる方法です。

「積算型」での予算見積りのイメージとしては、下流から上流へ、個人から各チームへ、各チームから各プロジェクトへ、各プロジェクトから各部門へ、各部門から経営層へという順番で、
成果物を作る現場メンバー主導で仮説を元に予算の積み上げを行います。

逆算の例と同様に、例えば、新しいビジネスモデルの初年度目標として、1億円の売上目標を掲げたとしましょう。
そこからプロジェクトにジョインするメンバーが、自分たちの成果物が完成するまでに必要な費用を、材料費2000万円・人件費2000万円・広告費用1000万円・設備含めた家賃1000万円、などのように算出するのが「積算型」の考え方です。
経済活動ではなく、社会活動の場面では、広報担当が何人、企画する担当が何人、イベントを運営する担当が何人という形で「目的となるゴール設定をして、必要な人員から費用を算出する」という積算型の考え方が多くの場面で使用されています。

「逆算型」と「積算型」を往復してバランスよく予算を組み立てよう

予算の見積り時に「逆算型だけ」を採用した場合には、「予算ありき」となることが多く、現場のメンバーにとって現実的でない費用で成果物を作成することとなり品質を伴わない可能性が高くなります。
逆に、現場メンバーが算出した「積算型だけ」を採用した場合には、経営陣やマネージャーにとって現実的ではない費用を確保することとなり、資産を圧迫してしまう可能性が高くなります。

「逆算型」と「積算型」のどちらかだけではなく、予算の精度を上げるために、逆算と積算とを往復して、経営陣・マネージャーと現場メンバーの双方の合意を取るのが大原則です。往復してバランスをとることは、期限内にプロジェクトの目的を達成できるような現実的な予算を組める事にもつながります。可能性を高めることができます。

課題と原因を見つけて解決する「運営フェーズ」

「運営フェーズ」では、準備フェーズで設定した予算と実際にかかったコストの超過・余剰の差分を把握する予実管理をします。予実管理をする理由は、超過・余剰の差分から課題を発見するためです。

運営フェーズにおける予算管理の運営と課題の発見

「運営フェーズ」で起こり得るリスクとして、コスト超過が挙げられます。コスト超過のリスクの発生を防ぐには、見積金額の根拠として合意した各成果物の完成までに必要となる工数(成果物とタスクの量と質)を各担当者へ共有し、現場メンバー1人1人が各自の予算管理をできるように、事前にコミュニケーションしておくことが効果的です。
事前に予算意識を持ってもらうことは、マネジメントの負担を抑えることにもつながり、他の課題を見逃してしまうリスクを低減できます。

コスト超過とは逆に、実際にかかったコストが設定した予算よりも少なく収まる余剰があります。見積もった予算よりもコストが少ない場合には、元の見積もりか成果物に何らかの課題があるはずで、「安く収まっているからそれでいい」と放置するのではなく、課題を見つけるために見積り担当者や成果物作成の担当者にヒアリングするなどのアクションが必要になります。

「運営フェーズ」ではコスト超過だけでなく、少なく収まっている余剰の場合にも課題を発見するサインを定期的に確認することが、予算管理者を担うリーダーやマネージャの重要な役割になります。

リーダーやマネージャーは、何をフォローできる?

組織やプロジェクトには、予算に対する知識・スキルが不足しているメンバーがいる場合があります。特に依頼者と直接コミュニケーションする中で、求められている要求とメンバー自身が成果物に使える工数との折り合いをどうつけてよいか分からない事態はよく発生します。そういうメンバーの状況を定期的に把握し、予算管理を担当するリーダーやマネージャーがメンバーをフォローによって課題発見が遅れることを防ぎます。

予算管理の準備と運営ができていれば、コスト削減のための値下げ交渉があった場合でも、受注者側の見積もり内にある成果物を発注者側で一部引き受けてもらうことを代替案として提示し、コミュニケーションの負担が大きい予算の調整も工数・成果物をもとに合意へ導くことがができます。

まとめ

  • 予算管理には「準備」と「運営」、2つのフェーズがある。
  • 予算は「逆算型」と「積算型」を往復して合意ができるバランスよい見積もりを目指す。
  • 成果物とタスクの量と質、合意できている工数を共有し、メンバー全員で予算管理をしよう。

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